IR情報

決算短信

2003年11月期決算発表にさいして(2004.1.21 富山商工会議所で)

2003年11月期連結では、

売上高は1,466.5億円、前期比9.5%増、営業利益は76.6億円、2倍、経常利益は62億円、3倍になりました。当期純利益は、特別損失項目がありまして18億円にとどまりました。
 当初、経常利益55億円を目標としていましたが、60億円台にのり、62億円まで来ました。1991年のバブル後半以来、12年ぶり。グループ企業の収益向上が効いております。
 営業利益率5%台、経常利益率4%台となり、これで当社は、やっと並のレベルになった、トンネルを抜けましたが、決してこれで満足はしておりません。これをスタート台にして、先般、発表いたしました中期経営計画2006「ナチビジネスの展望」にありますように、2006年度において経常利益100億円をめざしてまいります。

2004年11月期連結は、

売上高は1,500億円、前期比2.3%、経常利益は70億円、同12.9%、当期純利益は33億円を考えています。現時点の足元は、順調な営業環境にあります。
 経常利益については、(2003年11月期)62億円から、2004年11月期は約2割増の74〜75億円はやれるのではないかと思っています。2005年の環境は予測できませんから、(2006年度経常利益)100億円に対する足がかりとして、今期2004年度で業績の基盤を固めていきます。売上についても1,500億円となっていますが、あと30〜40億円は乗るのではないかと思っています。ほぼ5%近くの経常利益率をねらって行きます。
 2006年度の経常利益100億円では、経常利益率は6.4%になります。

役員人事については

商法の規定による改選期は2005年2月ですが、2004年2月の株主総会において、副社長2人の勇退を決めております。
 (退任2人が就任予定の)エグゼクティブアドバイザーについてですが、従来の常任顧問という言い方では、隠居仕事となり、第一線を退く形になってしまいます。この人たちにも特定のプロジェクトを担いでもらう。問題分野、問題のあるグループ子会社に対して指導をお願いする予定です。それから、重要な対外折衝にも出てもらいます。ラインの長ではないけれど、第一線に近い形の活躍をしていただく。そういう意味で「エグゼクティブアドバイザー」という新しいポジションをつくりました。以後、顧問という言い方はしないことにします。
 新任は3人。今日の発表は異動だけにとどめます。担当職務は変わることが考えられますが、それについては2月上旬の取締役会を経て、現在の取締役の担当職務も含めて、改めて発表させていただきます。いずれも50歳代前半、昭和20年代生まれが中心になってきました。この人たちに腕をふるってもらう意味で、上の人に勇退してもらい、若手を入れた次第です。平均年齢は2歳ほど若返ります。
 昇格について、副社長に明石常務、本間常務を、常務に田中(ベアリング)・飛弾野(機械工具)・柴(企画)取締役を予定しております。取締役の枠として、現在の15名体制から16名体制になります。
 改選期を待たずに人事を行ないましたが、元々、取締役の執行任期は実質1年を原則としてやってきております。

質疑応答
受注環境はいいと聞いているが、受注残高でマイナスの分野(工具、油圧機器)がある。
生産能力が拡大したことによる注残の消化と捉えていただきたい。
経常利益の過去の最高額は
1990年 連結で94億円(単独 90億円)、1991年 64億円(同 61億円)。
 当時、連単比率はかなり低かったが、現在は、ほぼ半々。半分はグループ会社で稼いでもらう。その形が整ってきた。
役員1人増の16人体制について
常務は1人増えて5人になる。常務以上は社長を含めて8人で、半数。
 かつては、東日本・西日本・中日本の支社長が役員になった。国内市場は基盤だから、決して軽視しているわけではないが、今は海外事業比率以上に、人員も含めて海外にエネルギーを投下しなければならない。国際化という要因に対して、役員クラスを充てたい。アメリカ、欧州に各1人充てている。事業部長、製造部長を担当している人に、営業もカバーしてもらう体制にしていきたい。
 もう一点、アライアンスの重要性が増してきている。アライアンス先に対する当社の売上高は年150〜200億円、15〜20%ほどを占める。住友電工と工具でアライアンスを組んでいるが、プレシジョンの機械を納める場面が出てきている。ナチビジネスの外延。サムスン電子、上海汽車工業グループに対しても同様。そうなると付き合いの問題が出てくるし、当社は複合型の事業経営だからboard memberが必要になる。とくにアジアは肩書き社会。 取締役の担当職務については、2月に発表させてもらう。
新設のエグゼクティブアドバイザーについて
常勤だから、毎日出社になる。プロジェクトを担いだり、子会社の指南役に就いてもらう。第一線のラインの長ではないが、決して隠居仕事ではない。
 役員にはどうしても枠がある。55歳くらいになると、退職金を算出したり、潜り込めそうな子会社を物色するもの。そうなると会社は淀んでしまう。50歳前半で腕をふるってもらいたい。上の人に勇退していただくしかない。若手を入れて、考えながら動く体制にしていく。
 以前、18〜20人体制もあった。
2004年11月期の経常利益70億円ついて
下方修正はしたくない。2割増の75億円をめざす。売上高よりも、利益率を重視する。2001〜03年、中期経営計画「ナチビジネスプラン・03」にもとづいて選別をすすめて、競争優位商品のウェイトを高め、営業アカウントを整理してきた。経営の活動としてはプロジェクト型にして、採算のとれるところへ経営資源を重点投資してきた。売上高は名目的なもの。たとえ、それが伸びなくても気にしない。利益が確実に上がればいい。その体制が2003年でつくれたと思っている。
 展望があればいいが、名目的な売上高を追うと、間違う。まず、利益。あたりまえのことだが、案外、分かっていない。

 2002年度は全事業部門で売上高がマイナスだった。2003年は全部門で増収。2004年11月期の売上高については、はじめに1,500億円を設定し、それに合わせたものだから、ロボットで減収になったり、国内増、海外横ばいという数字のつくりになってしまった。1,500億円を設定した後に、10〜11月の実績の数字が加わるから、実態は全部門増収、海外売上高も計画の457億円に、20億円くらいは乗ると見ている。1,500億円は堅めの数字。正直言って、数字はガイドライン的なもの。

 2004年は、再選別、選別の仕上げを行ない、ナチビジネスという展開の仕方に統合していく。アライアンスを特定分野ごとに進めてきたたが、その戦略がナチビジネスに効いてきている。そこに、中国をはじめ韓国、台湾、東南アジアが加わることになる。
設備投資について
2004年度について、すでに80億円は計画が出ている。100億円になるだろう。
人員規模について
単独ベースで2,600人。これ以上は減らしにくい。直接工は減少していくが、海外展開やアライアンスに伴って、新しい仕事が出てくる。そうしたタレントは随時採用で補強していく。
足元の環境はいい
上半期はこのまま続くと思うが、下半期は分からない。曲がり角が来るかもしれない。 欧州が回復し、アメリカも持ちこたえそう、アジアは堅調。
 タイや中国の工場が稼動することにより、当社の生産力もついていく。富山では、油圧とベアリングの新工場が4月から稼動する。先般発表した、独・クルトホフマン社との提携によって、これまで我われが触りきれなかった顧客をフォローできる。
 国内景気の現状は、上だけ熱くて足元が冷えている、へたなエアコンが効いた部屋みたいなもの。生活上の負担がじわじわ増えているので、あまり消費支出は増えてこない。それに失業面も改善していない。工作機械業界などは設備投資は強気だが、本当に続くのか。鉄も値上がりしている。日本の景気だけを論じていては、半分もつかめない。

 日本経済については、かなり警戒しているが、2004年については、世界経済は落ちることはないだろうと思っている。日本が多少停滞しても、海外展開と、世界三極での供給力をつけていけば、やれると見ている。

 これで我われは並のレベル。不二越としては(経常利益60億円は)いつも稼がなければならない水準。70〜80億円、経常利益5%台の力をつけておく。つぎの波に備えて。
 12月の年末であっても、NACHI-BUSINESS Galaxyに月600人がお越しになる。日本の失われた10年も、不二越の失われた10年も、ほぼ終わりつつある。
配当について
3円で発表しているが、2004年度の数字と2005年が見え出す中間期の時点で、考えるタイミングが来ると思っている。3円で決して満足はしていない。
 特別損失項目がなくならないと、配当論議はできない。早めに処理をしてきたので、2003年11月期で、ほぼ、いろんな特別損失項目は消えてきている。