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ニュースリリース

次世代DVD用の超精密レンズ金型加工機
『ナノアスファ』を市場投入

2004年11月2日
株式会社不二越

ナチ不二越は、これまでデジタル家電市場で培ってきたナノレベルの超精密加工技術、機上計測技術、機械要素・制御技術をさらに高め、今後市場の拡大が期待される次世代DVD市場に対して、超精密、特殊形状のレンズ金型を高能率で加工する非球面加工機『ナノアスファ』を開発し、市場投入する。

1.開発の背景
  • ナチ不二越の超精密加工機械(プレシジョン)事業のとり組み
    • 当社は、機械加工、要素部品、制御、計測技術をあわせもつ独自のつよみを活かし、自動車や産業機械分野に加え、電機・電子、IT分野をターゲットとした超精密加工システムの開発にとり組み、カスタマーの高精度、高能率加工のニーズに応えている。
    • とくに、ベアリングで培ってきた油静圧技術を展開し、デジカメなどの非球面レンズ金型加工機、液晶パネルの導光板金型加工機(ナノグルーバ)、HDD磁気ヘッドや光コネクタ加工用の精密スライサ(ナノフェーサ)など、それぞれの市場で1ランク上の高精度、高能率加工技術を提供し、トップポジションを築いてきた。
    • そして、これらの技術シーズをさらに高め、組み合わせることによって、特殊形状のワークをより高精度、高能率に加工するシステムの開発にとり組んできた。
  • DVD市場の動向とニーズ
    • DVD(デジタル多用途ディスク)は、ピックアップレンズで集光した光スポットを用いてデータの記録、再生を行なう。CDの約7倍の記憶容量をもち、データや音楽だけでなく、映像やテレビ番組も記録、再生できることから、これまで世界的に普及してきた。
    • 一方、2003年末から、地上波デジタル放送がスタートし、当初の計画を上回るペースで世界各地域に普及する見通しである。音声や画像がデジタル信号として配信され、高画質放送、双方向データ通信等が可能となることから、各家電メーカーでは、より記憶容量の大きい次世代DVDシステムの開発をすすめている。
    • 次世代DVDは、ハイビジョン放送の長時間録画に必要な記憶容量を確保するため、ディスクの記憶密度を高めるとともに、半径2mm以下の微小な非球面形状で、外周部の傾斜角70度程度の極端な凸状レンズを採用し、光スポット(読み取り)面積を従来の1/5以下にする必要がある。
    • そして、微小なピックアップレンズの複雑形状を加工するために、これまでの金型加工機にはない超精密加工技術、計測技術が必要不可欠となる。

今般、当社は、次世代DVDのピックアップレンズ金型を超精密、高能率に加工する『ナノアスファ』を世界で初めて量産機として開発、市場投入し、微細化、高精度化を追求するデジタル家電市場において、確固たるポジションを確立する。

2.次世代DVDレンズ金型加工機『ナノアスファ』の特長
  • 超精密加工を実現する機械要素技術
    • X、Z軸テーブルに完全非接触で摩擦、摩耗のない静圧スライド、静圧ねじを、また、工具旋回軸(B軸)には油静圧軸受を採用し、超精密で円滑な軌跡精度、回転精度を実現した。これにより、傾斜角70度の深い凹形状のレンズ金型を、40nm以下の形状精度で研削仕上げ加工することを可能にした。
  • 機上計測技術の向上
    • ピックアップレンズ金型の超精密加工において、加工中の形状計測、補正加工が不可欠で重要な工程である。次世代DVD用レンズの特殊形状に対応するため、これまでの計測範囲±60度から±70度へ拡大。また、計測再現精度を50nm以下から20nm以下へ大幅に高めた。
    • さらに、工具の芯ずれや摩耗量の解析を行ない、自動補正するNCプログラム(支援機能)を標準装備し、補正、段取り時間の短縮と、作業者の補正技能を必要としない設計とした。
  • 独自の加工技術
    • 微小径で極端な凸状のレンズを成型するため、金型を超精密に深彫りする必要がある。これまでの算盤型の砥石形状を円筒型に改善して深彫りを可能にすると同時に、X、Z、B軸の3軸同時制御で加工を行なう新しい加工方法、パラレルB研削法を採用した。
    • パラレルB研削は、従来の成型された砥石の形状精度を転写する方法と違い、常に円筒型の砥石のエッジ部で加工し、回転、位置決め精度によって超精密を実現する方法で、砥石のツルーイング時の形状誤差によるトラブルを回避することが可能となる。
  • 省スペース化
    • 油静圧装置をユニット化、コンパクト化し、熱対策、振動対策を施して機械へ組み込むことにより、設置スペースを従来に比べ60%に削減し、設置面積あたりの生産性を大幅に向上させた。
3.今後の需要動向
  • 現在、すでに、大手電機メーカーをはじめ数社から引合や試削りテストの依頼を受けており、2005年度には、当社の超精密加工機械事業の1本の柱へ成長すると見込んでいる。
以上
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