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決算短信

2004年11月期決算発表にさいして(富山商工会議所で)

2004年11月期連結では、

連結売上高は前期比8.3%増の1,588億円、経常利益は同36.5%増の84億円となり、増収増益となった。当初の見通しは経常利益70〜75億円であったが、80億円を超える結果となった。したがって配当も3円から5円に増配した。しかし、我われの見方では5円に復配し、やっと並の企業になったと考えている。

2005年度は、

資材インフレの影響がでてくる。また、為替が円ドル相場で101円台に入り、これがマイナス要因となる。端的にはこの二つの問題。
 需要動向に関しては、心配してもきりがない。上期の受注はおおよそ見えている。下期は一部の業種で生産調整もありうるが、横這いをキープできるだろう。通期予想は、連結売上高が前期比4.5%増の1,660億円、経常利益は同11.1%増の94億円を計画している。経常利益、当期利益とも2桁台の増益を達成したい。過去最高益という記録に拘ることなく、間違いなく利益を確保していきたい。

役員改選期にあたり、

 今回のねらいは、ものづくりの改革と国内外の営業、技術開発、人事・研修を新しい目で仕掛ける。役員の担当職務変更は、今後の経営におけるポイントである。例えば、プレシジョンとクリーンサーモ事業はこれからの展開次第で大化けする可能性を秘める期待分野。製造事業部門の担当者は主として富山に在籍するが、営業をかならず掛け持ち、製造と営業を通しでみる。
 内部ひきしめの意味あいも含めて、従来通り16人体制とする。

質疑応答
為替レートについて
2005年度の社内レートは1ドル105円、1ユーロ125円で計画しており、2004年度の実績は、1ドル107円、1ユーロ132円。ドルは1円の動きで年間80百万円、ユーロでは20百万円の影響がある。
円高や資材インフレなどマイナス要因のある中で、2桁台の利益を確保できる勝算は
ものづくりに対するカスタマーからの確かな手応えを感じている。2004年ほど順調にはいかないが、最低でも10%の増益は確保する。中国や為替の問題を言い出したらきりがない。
 ただ、これまで、我われは機会損失、いわゆる儲け損ないをたくさん生んでいる。チャンスロスを極力つぶすことで、業績は十分に伸ばしうる。
 富山事業所のNACHI COMPLEXの来訪者数が、2003年度の6〜7千人の実績に対して、現在は1万人を超えている。それだけカスタマーの注目を浴び、我われの機械加工、ロボット、機能部品、材料・熱処理事業という複合・連環型のナチビジネスに対するお客の評価が定着してきた。我われのカスタマーはメーカーであり、NACHIの商品はカスタマーのものづくりの工程に必ず係わる。NACHI COMPLEXをみせることで、ビジネスのネタが生まれるという、非常に良い循環になってきた。

  我々はとくに中国やアメリカという地域性に依存した経営をしているわけではない。例えば日系建機メーカーの中国に対する生産水準はかなり落ちてきたが、それでも、我われのミニ建機用油圧機器は国内やアメリカ向けを中心に堅調に推移している。有望な市場はどの地域かという質問を受けるが、我われはカスタマーが進出するエリアにどう繋がっていくかということ。市場を地域で選んでいるわけではない。海外売上高の比率は、表向きは30%だが、国内発注の海外要因がたくさんあり、このファクターをしっかりと捉えていく。
 経常利益で100億円はあくまで通過点。そこで一服するつもりもない。極端にいえば、売上高は名目、減収でもよい。要は中味の問題で、採算性の良いアカウントを増やし、増益を確保する。2005年上期までは、一部の商品が過熱状態にある。納期に間に合わず、富山に催促に来るお客がいるほど。工作機械の出荷スケジュールは、すでに2005年はいっぱいで、今からの引き合いは2006年春くらいになる。
 2002年後半から成長軌道に乗り、ナチビジネスが良い形になってきた。設備投資で工場を近代化し、人材を積極的に採用する。2005年度の新人は、通年を含めて200人を超える。
フリータイム制について、

 経営において優先事項として考えている。勤労するという意識・意欲を高める。従来は、フレックスタイム制は、コアタイム(東京 10:00〜15:45)が長く、それほど顕著な効果はでていない。

  主任以上の役職者を完全フリータイムにして、24時間対応できる体制を整える。契約社員なども含む一般社員は、時差勤務を大幅に多様化し、拡大したい。導入は4月頃を考えており、職種は国際営業部や各支社の業務部門、本社スタッフ、開発部門など千人以上が対象になる。
  日本人の横並び的な「休まず遅れず」の勤務態度を戒め、社員の意識改革をすすめる。人を増やすだけでなく、各人の役目にあわせて勤務形態を多様化し、時間当たりの生産性を高めていく。一人ひとりの役割・時間意識をはっきりさせ、仕事に対する連携プレーをもたせる。時間がブロードバンドになるのだから、セキュリティーの問題、海外からの問い合わせへの対応やコミュニケーションも良くなる。正午に出勤して午後9時に退社、深夜出てきて翌朝に帰宅してもよい。通勤ラッシュの問題もある。国内の営業では直外直帰をもっと拡げる。週1のミーティングに出社するていどでよい。すでに現場では、3交代制があるので必然的に仕組みが出来ている。
  東京事業所のワンフロアーでは、旧来の意識のままでは、時差勤務はやりにくいだろう。ワンフロアーのデメリット。そのパラドックスを打ち破る。強制的にでも導入し、意識を変えるきっかけとしたい。

  定着するまでには、多くの問題が生じると思うが、試行錯誤しながらやっていく。なにより自分の仕事の役割を考え、隣の人が何をやっているかを知ることにより、人の生産性をあげる。工場を近代化し生産性を上げるだけではカバーしきれない時代に入っている。